2025-08-06

資本主義の中心で、資本主義を変える


日々の読書から、おすすめを紹介します。今日は、

資本主義の中心で、資本主義を変える

2023年9月初版




1.著者


清水 大吾

2001年に京都大学大学院を卒業し、現シティグループ証券入社。
2007年にゴールドマン・サックス証券に入社し、
2016年から株式営業本部業務推進部長(SDGs/ESG担当)。
2023年、同社を退職。



2.どんな期待を持って読んだか


日本の民主主義や資本主義について
不信感のある自分は、
日本とは何なんか、資本主義をもっとよく活用するためには
どうすればよいのかということを学びたいと手に取りました。

冒頭から、答えのある本ではない、
考えるきっかけになることが大事であり、うねりを生み出すと考える
という主張があるが、
複数の観点から、学びの多い一冊だと思いました



3.構成



第1章 資本主義は「限界」か?
 1-1. 資本主義の方程式
 1-2. 競争原理がすべてを動かす
第2章 お金の流れを根本から変える
 2-1. 日本の資本市場のボトルネックは「忖度(そんたく)」文化
 2-2. 「忖度」を解くカギは「緊張関係」
 2-3. 「空気の読めない人」が時代をつくる
第3章 ピラニアを放り込め!
 3-1. 過去の言葉になった「Asia ex Japan」(日本を除くアジア)
 3-2. 「健全な緊張感」のもたらし方




4.全体的な所感


ゴールドマン・サックスという資本主義の権化のような会社で、
資本主義が完全ではないことを痛感し、
進化させようと奮闘してきた過程が綴られていました。

自分のためにメモ書きする場所がとても多く、
人生で大事な一冊と巡り合うことができたと認識しています。



5.個別の印象的な内容



P36より、
Up or Out」と並んでもう1つ、私が疑問を持ったのが、
Upfront(先払い)」という言葉。
お客様にとっては10年後の投資成果が一番の関心事であるにも関わらず、
証券会社にとってUpfront化したあとは収益が発生しないために、
商品を売った後のこと(メンテナンスなど)には興味が薄れてしまう。
要はお客様と目線がずれてしまうのだ。


P43より、
欧州の場合、政府が関与して独占を許さず、
雇用や社会保障を重視する「社会的資本主義」ともいえる形が
北欧やドイツなどで見られる。
中国の場合、所有の自由には制限があるものの、自由経済に近い形を採用することで
国家資本主義」の様相を呈している 


P57より、
伊勢神宮には式年遷宮という習慣がある。
この儀式の背景には、神の勢いを瑞々しく保つ思想がある。
元来日本人は、そのような新陳代謝の発想を持っている国民であり、
戦後復興の過程において会社の存続を絶対視する方が「一時的」
なのかもしれない。
しかし、その期間が数十年にも及ぶと「常識」と化してしまう。
より合理的な判断を下すためには、
「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」
という言葉を我々は肝に銘じておかねばならない。


P123より、
政策保有株式によって投資家の声を封殺してきた日本には、
投資家が何かしら企業に対して提言しただけで
「モノ言う株主」として敬遠されてきたという歴史がある。
モノ言う株主」という言葉は、
痛い頭痛」と同じくらいおかしな日本語でもある。


P174より、
コーポレートガバナンスという言葉は、
非常に狭義なコンプライアンス的な考え方に終始してしまっている印象を受ける。
しかし本来は、企業がその存在意義(パーパス)に沿った目的を達成するために
必要となるシステムなどを包含している。
つまり、コーポレートガバナンスは
「企業文化」に近い概念だ。
企業文化の根底にあるのは、「企業が何を評価するのか」ということである。


P183より、
ここ数年で「新しい資本主義」が議論されることが増えたが、
新旧ではなく「そもそも日本には資本主義が存在しているのか?」
というところから議論したい。
日本の企業においては、
「他とは違った取り組みをして結果を出せば報われる」という、
資本主義の根本原理が機能していない側面があるのだから。
何のトライもせず、結果的に何のミスもしなかった人が
評価されるという企業文化になってしまっていないだろうか?


P244より、
消費者として念頭に置くべきなのは、
自然の時間の流れに沿うのがいちばん環境負荷が少なく、
そこからかけ離れるほど環境負荷が大きくなるということ。
消費者としての私が実践している行動をいくつか紹介しておこう。
 ①とにかく歩く(健康にもよい) 
 ②需要を平準化する(なるべく人と違う行動をすることが社会には優しい) 
 ③無駄に新しいものを求めない(食糧廃棄問題を緩和することができる)


P252より、
「雇用の流動性を高めよう」という言葉の根底にある考え方は、
「客観性を持つことの重要性」である。
これは大層なことではなく、
本を読んだり、社外の人と交流したりという、
日頃の業務から少しだけ離れたところへ足を延ばすだけで手に入る。


P312より、
本当にほしいものは利他でしか手に入らないということ。
「利他」的に生きるというのは簡単なことではないが、
時間軸さえ長くとれば「利己」が「利他」に変わっていくと考えれば、
自然体で「利他」を続けていける。「究極の利己は利他」なのだ。




6.おすすめなのか


素晴らしい本なので、資本主義社会の中で生きていく
全社会人におすすめしたいです。

個人的には、資本主義の哲学といった難しさは少なく、
実学としての資本主義について考えることが好きな人は、
皆示唆に富むはずだと思いました。


日本がよりよい資本主義を実現できるように、
「消費市場」「労働市場」「資本市場」の3つから
考えていけばよいと思います。



ありがとうございました。
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