日々の読書から、おすすめを紹介します。今日は、
お金の不安という幻想 ~一生働く時代で希望をつかむ8つの視点~
2025年10月初版
1.著者
田内 学
社会的金融教育家。お金の向こう研究所代表。
無常氏のブログで、人口数と賃金の関係についての次の記述を読み、
「14世紀のヨーロッパを襲ったペストで人口が約3割失われた際、
英国では農民の賃金がわずか3年で5倍以上になった」
どのような状況だったのかと興味を持ったので読んでみました。
3.構成
第1部 整理する~「外」に侵されない「内」の軸
・焦りを生む空気からどう抜け出すのか?
・成功者を真似てもなぜうまくいかないのか?
第2部 支度する~「内」に蓄える資産
・労働と投資、報われるのはどちらか?
・お金以外の何に頼ればいいのか?
第3部 直視する~変わられない「外」の現実
・なぜ「稼ぐ人が偉い」と思われるのか?
・いつまでお金に支配されるのか?
第4部 協力する~「内」から「外」を動かす可能性
・どうすれば仕事を減らせるのか?
・大人の常識はこれからも通用するのか?
4.全体的な所感
前半は、構成と問いの対応が理解しにくいと感じて、
ネガティブな印象を持ってしまい、散文の集約かと思ってしまいましたが、
徐々に「お金があっても労働する人がいなければ社会は回らない」
という話がじわじわと実感できるようになり、
後半になるほど、本書が素晴らしいと思いました。
最後には、本当に、
「お金の不安という幻想」を理解できたという印象になったことに驚きました。
5.個別の印象的な内容
P96、(労働と投資、努力が報われるのはどっち?)
ピケティが伝えたかったのは、「最初から資産がある人がさらに豊かになる」
社会構造に問題があるということであり、
「資産のない人も、投資をがんばれ」という話ではない。
P97より、
努力が報われやすいという意味では、投資よりも労働だ。
特に若いうちの努力ほど、その効果は大きい。
P107より、
長らく社会では、「役に立つこと」と「稼ぐこと」が分断されていた。
「役に立つこと」を真剣に考えても「お金の不安」が減らない社会だった。
だが今、人出不足や安泰神話の崩壊を背景に、
「役に立つこと」をすれば、「稼ぐこと」つながる社会に戻りつつある。
「しごと」は、「仕える事」を表す「仕事」ではなくなろうとしている。
P177より、
ヒトが深刻な制約になった例は珍しい。
よく知られているものは、14世紀にヨーロッパを襲ったペストの大流行だ。
当時の人口の約3割が失われた。
設備や建物は同じようにあるのに、働き手だけが消えた。
パリでは1346年からの7年間で、屋根葺き職人と石工の賃金が3倍にも増えた。
イングランドの荘園では、1347年から3年で農民の週給が5倍に跳ね上がった
という記録が残っている。
P188より、
「お金を稼ぐ方が偉い」という価値観のもとでは、
(熊本ではTSMCを選んで)教員という仕事は後回しにされる。
「お金さえ回せば経済はよくなる」という常識は、
ヒトもモノも無限に存在するという前提に立った、旧世界の幻想にすぎない。
この古い価値観に、私たちは終止符を打たなければならない。
P214より、
国内企業を守るための規制が、結果として競争力を奪い、
市場を海外に明け渡すという皮肉な減少が繰り返されてきた。
(例えば、民泊からホテル業界を守るため、オンライン診療から医療の質を守るため、株式会社の参入からの農業を守るため、タクシー業界を守るため、携帯電話市場を守るため)
P238より、
私たちは、それぞれが違う立場で様々な不安を抱えている。
自分では、どうにもならないと思うことがある。
しかし、私たちは社会と確かにつながり、様々な役割を担っている。
消費者として、働く人の負担を減らそうとする。
働き手として、職場の若手の挑戦を支える声をあげる。
有権者として、次世代を考えた政策を支持する。
保護者として、子供が将来に希望を持てるように耳を傾ける。
地域の一員として、小さな交流会やイベントに参加する。
そして、挑戦する人と同じくらい、支える人の存在も欠かせない。
ただ静かに応援するだけでもいい。
出る杭を打たないだけでも、未来は変わる。
大切なのは、「変えられる」と信じる勇気だ。
P249より、
「どうして大人には危機感がないのですか?」
「どうすれば、大人に危機感を持ってもらえるんですか?」
僕はその場に立ち尽くすしかなかった。
この本を書こうと思ったのは、まさに彼らに答えるためだ。
6.おススメな人はどんな人か
全ての日本人に希望を与えるという点で、おススメします。
田内氏は、素晴らしい言語化能力をお持ちです。
不安の言語化、その構造の理解するための言語化、そして、希望の言語化。
働くことこそが価値の源泉であることを尊重したいと思っています、
そして、私は今後、
自分よりもうまく働く人たちを応援したいと思っています。
「社会に貢献すること」と「お金を稼ぐこと」が矛盾しない日本になるように、
自分の人生の資本を使っていきたいと思っています。
それは、金を稼ぐことではなく、政治家になることでもない、
静かに地味に、コツコツと。
私は10年前頃、将来は外国に移住しようと思っていました、
なぜなら、日本の未来がよくなる希望を持てなかったからです、
現状は良くない状態であり、若者がどんどん苦しくなるのであれば、
日本で子供を育てたいと思わなかったからです、
加えて、良くしようとする変革者の邪魔をしまくるのが日本だと感じていたからです
本書は、この絶望感から救い出してくれる本だと思いました
素晴らしく希望の持てる本です、
氷河期世代が未来を創る一助ができると思わせてくれる本です
ありがとうございました、
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