日々の読書から、おすすめを紹介します。今日は、
『論語と算盤と私
~これからの経営と悔いを残さない個人の生き方について~』
2016年10月初版
1.著者
朝倉祐介
シニフィアン株式会社共同代表
東京大学在学中に創業したり、
その会社のミクシィ買収に合わせて、
ミクシィのCEOとなっています。
現在は、ファンド運営や複数社の社外取締役などこなしています。
2.どんな期待を持って読んだか
『ファイナンス思考』を読み、
ファイナンスの考え方以外にも示唆に富む内容が多かったので、
もっと著者の考えから学びたいと思いました。
本書のタイトルも、渋沢栄一に絡めており、
興味をもちました。
3.構成
第1章 職業としての経営者とリーダーシップ
第2章 集団・企業が陥る自己矛盾
第3章 起業・スタートアップの環境変化
第4章 成熟・衰退期を迎えた企業の処方箋
第5章 既存企業のイノベーションに対する渇望
第6章 資本市場に翻弄されないために
第7章 個として独立するための原則と心意気
4.全体的な所感
サラリーマン時代におぼろげに抱いていた疑問を
解消する内容を見つけることができて感動しました。
その疑問は、長く続く企業は良い企業なのか?
ということです。
どの立場から見るかによって良いのか否かは違う
ということを理解しました。
それだけでも、個人的には非常に大アタリ本だと感じます。
5.個別の印象的な内容
P89より、
1602年に設立されたオランダ東インド会社のスキームは、
出資金を10年間固定した後に精算するしくみだった。
また、イギリス東インド会社は、航海ごとに精算するしくみだった。
(株式会社は有期限のプロジェクト的性質が強かった)
P90より、
1657年に、永続的な活動を実現すべくイギリス東インド会社が体制を刷新した。
航海ごとの精算方式から、利潤の一部を配当する方式に変更した。
そして株式を自由に売買できるようにした。
(キャピタルゲインに加え、インカムゲインが登場した)
P94より、
従業員から見れば、
会社は多くの時間を過ごす場であり、利益創出以上の意味があるものです。
対して投資家から見れば、
会社とは自分の運用益を得るための一銘柄にすぎません。
P93より、
会社とは本来、利益を追求するゲゼルシャフト(機能体組織)です。
特に市場から広く資金調達している上場企業の場合、
その色合いはより濃く、
共同体の論理を優先するゲマインシャフト(共同体組織)
とはそぐわない面が多々あります。
ところが、「日本的経営」の色合いが濃い伝統的企業であれば、
なおのことゲマインシャフト的要素や価値観が強く反映されることでしょう。
6.おすすめなのか
起業しようとしている人から、大企業で働いている人まで、
広くビジネスマンにおすすめしたいです。
著者は、本書がファイナンス思考よりも「全く売れなかった」
と言っていましたが、
もっと売れてしかるべきと感じました。
本書の最後に、著者の半生について解説していました。
中学卒業後に騎手を目指して渡豪。身体の成長に伴う減量苦によって断念。
帰国後、競走馬の育成業務に従事した後、
専門学校を経て東京大学法学部卒業。
渡豪してから、予想外に身長が伸びてしまったため、別の道を選択します。
帰国後も事故による後遺症のため、育成業務とは別の道を選択します。
それから選んだ東大に入っています。
この時点ですでに、著者のレジリエンスの大きさを
物語っていると思いました。
そのメンタルや学習能力を若いうちにいかにつけるかを
もっと知りたいと感じています。
ありがとうございました。
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