2024-07-19

訂正する力

日々の読書から、おすすめを紹介します。今日は、

訂正する力

2023年12月初版





1.著者


東 浩紀

批評家。株式会社ゲンロン創業者。
東京大学大学院博士課程修了



2.どんな期待を持って読んだか


日本をよくするための著作を複数持つ著者であり、
過去をどう理解するのか、訂正するのか、
考えるヒントをえたいと思って読みました。



3.構成


第1章 なぜ「訂正する力」は必要か
第2章 「じつは……だった」のダイナミズム
第3章 親密な公共圏をつくる
第4章 「喧騒のある国」を取り戻す



4.全体的な所感


本のタイトルが売れなさそうだけど、
読んでみれば面白い内容でした。

そもそも「訂正する力」とは何なのか、
何度もその説明は異なる表現によって説明されているのですが、
私にとって一番しっくりくる表現は次でした。

訂正する力は、
「リセットすること」と「ぶれないこと」のあいだでバランスをとること

この背景として、人間同士のリアルな会話では、「さっきの話はそういう意味ではなくて」ということが許容されるのに、XなどのSNSだと許容されにくいことがありますね

「さっきのはそういうんじゃなくて」という話ができずに、
むしろ何年も前の表現を切り抜いてきて矛盾を指摘するようなことがなされてしまう
そんな日本は、訂正を嫌う文化になっているという話です
政治家や官僚は謝らないし、論破をすることにさえ人気があります



また、
子どもの遊びのルールが自然に変化していくように、
大人がより良い社会を実現するために社会のルールを更新していくように、
人生の転機に過去の解釈を前向きなものへ受容するように、
訂正する力とは実は身近なものだという感想です。

著者は、訂正する力は文系的であり、人間の営みのようであるという。
実は〇だったんだという発見プロセスこそに重きを置いている。
一方で、理系的なものは対象が存在(実存)しており、
最新の理論だけを理解すればよく古い理論を学ぶ必要はないという。


こう見ると、正しい思考をするためには、
理系と文系を両方学ぶことが必要だと感じました。

長期投資をする際に重要だと思うこと、
それは、声の大きな人やメディアに流されてしまわないように注意すること
短期的な損失よりも大きな長期的な利益を期待するためには、
理系的な分析力に加えて、
文系的に明るい将来ストーリーを描く力が必要だと感じました



5.個別のメモ


P76より

「訂正する力とは、過去との一貫性を主張しながら、実際には過去の解釈を変え、
 現実にあわせて変化する力のこと」


P82より、

「訂正する力とは、環境が変わったので、言いたいことが今までの表現だと
 通じなくなった。
 だから、新しい環境でも通じるように表現を変えるという話」
 

6.おすすめなのか


右か左か、白か黒か、
という二項対立はわかりやすいのですが、
各項を行ったり来たり、さらには第三項まで生み出すということが、
訂正する力だと理解しました。

20代には、じれったいと感じる思考かと思います。
でも
40代にもなれば、過去の苦い経験や失敗を受け入れる思考法として
非常にありがたい内容だと思います。





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