日々の読書から、おすすめを紹介する。今日は、
シン・日本の経営 ~悲観バイアスを排す~
2024年3月初版
- 著者
ウリケ・シェーデ。
米カリフォルニア大学サンディエゴ校の教授。
一橋大学や日銀にも所属し9年以上の日本在住経験を持つ。 - どんな期待を持って読んだか
長期投資家のろくすけさんのブログで紹介されていたので、長期投資するためのヒントを得られそうだと期待して読んでみました。
ただし、本のタイトル「シン・」は、ありふれてしまっているし、
安易な印象を与えてしまうため非常に残念ではあります。
ろくすけさんが紹介してくれていなければ、出会う可能性は低かったと思います。 - 構成
第1章 再浮上する日本
第2章 2020年代は変革の絶好の機会である
第3章 「舞の海」戦略へのピボット
第4章 優れたシン・日本企業に共通する「7P」
第5章 「舞の海戦略」の設計
第6章 日本の「タイト」なカルチャー ~なぜ変化が遅いのか~
カルチャーの3つの次元_内容・合意・強度
第7章 日本の企業カルチャー ~タイトな国でいかに変革を進めるか~
3つの規範_礼儀正しく思いやり・適切・迷惑をかけない
第8章 日本の未来はどうなるのか ~日本型イノベーション・システムへ~
第9章 結論「シン・日本の経営」の出現 - 全体的な所感
文化を「タイト」と「ルーズ」で分類して、それぞれにあった変革をすべきだとする主張に、安堵しました。
正直、私は、「アメリカにイノベーションで負けるな」とか「負けていない」と言われるとしんどい気がしますので。
文化を3つの次元で分解している点や、3つの規範を示してくれている点が非常に新しいと感じました。そして、日本の「タイト」な文化と、アメリカの「ルーズ」な文化は良しあしではないという話、勇気づけられました。
「舞の海」戦略や「7P」はキャッチーだとは思うけど、あまり価値を感じませんでした。 - 個別の所感
(P65)1987年から2022年までの間で、企業の株式保有比率が大きく変化した
旧来の企業体質を変革しなくてもよかった強い理由になると同感しますね。現在進行形の日本企業の変革が、一筋縄ではなくじっくり腰を据えて準備してきたことなのかもしれないという期待も感じます。
(P71)経営陣が各方面から利益よりも売上の増大を重視するように奨励されていた
とあるが、まさにこの数年で市場が利益重視の評価を一斉にするようになり、経営陣の刷新が進み始めたといわれていますね。 - おすすめなのか
悲観がちな日本の将来を抱いている人に絶対おすすめです。
イノベーション(特に「探索」と「深化」などを知っている人)に関する本を
数冊でも読んだことのある人や、
企業変革と組織文化に関心のある人には、
非常に面白い内容を含む本だと思います。
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